KDE の日本語翻訳ガイド

2024-09-27

はじめに

これは、10数年ぶりに KDE を翻訳したときの作業メモです。

公式の情報はこちら

翻訳ファイルをダウンロード

mkdir ~/kde_tr_ja
cd ~/kde_tr_ja

# 事前に subversion をインストールしてください
svn co svn://anonsvn.kde.org/home/kde/trunk/l10n-support/ja/summit/messages

時々、ファイルを最新のものにアップデートしてください。

cd ~/kde_tr_ja/messages/
svn update
cd ..

未翻訳のメッセージを grep で検索

“Automatic spell checking” が未翻訳の場合は、次のコマンドを実行。

# 検索時に大文字と小文字が区別されます
# 「grep -v ".po:#"」でコメントを除外
grep "Automatic spell checking" messages/*/*.po | grep -v ".po:#"

翻訳するファイルが見つかります。

messages/sonnet/sonnet6_qt.po:msgid "&Automatic spell checking enabled by default"

未翻訳のメッセージが「Done」のように短すぎて、ファイルを絞りきれないときは、そのメッセージの周辺にある長いメッセージを検索してください。日本語のメッセージも検索できます。

poedit などの翻訳アプリで「sonnet6_qt.po」を翻訳。

# コピーを翻訳する。オリジナルは変更しない
cp messages/sonnet/sonnet6_qt.po .

poedit sonnet6_qt.po

最初のうちは30分程度で終えられる範囲のメッセージを翻訳してください。なにか間違いがあったとき、2時間分の作業をやり直すのはつらいものです。

全訳にこだわる必要はありません。稀にしか出ないエラーメッセージは後回しで良い。メニューや設定項目を先に翻訳すると、快適性が格段に上がります。

翻訳する際の注意

注意事項を過剰に気にする必要はありません。気軽に翻訳してください。「ディレクトリー」と翻訳した場合でも、「ディレクトリ」への置換は一瞬でできます。

翻訳したメッセージを実際のアプリで表示

翻訳したメッセージをインストール。

for po_file in *.po; do
msgfmt $po_file -o ${po_file%.po}.mo;
done

sudo cp *.mo /usr/share/locale/ja/LC_MESSAGES/

アプリを再起動して、翻訳が反映されているか確認してください。

翻訳したファイルをメーリングリストに送付

こちらにメールアドレスを入力して、kde-jp のメーリングリストに入会を申し込んでください。名前とパスワードは省略可能。

退会するときは同じページに「Kde-jp からの退会」のボックスがあるので、メールアドレスを入力。入会も退会も数分で自動的に処理されます。

入会したら、kde-jp@kde.org に次のようなメールを送ってください。

件名
翻訳しました: sonnet6_qt.po

本文
sonnet6_qt.po を翻訳しました。マージをお願いします。

「sonnet6_qt.po」を bzip2 などで圧縮して、メールに添付。

KDE のコミッタがファイルを確認して、KDE の公式リポジトリにマージします。何日か待ってください。

Transifex などの翻訳プラットフォームに移行する予定は?

「いまどきメーリングリストで翻訳?」

私もそう思いました。このやり方は世界共通なので、KDE の方針が変わらない限りどうにもなりません。英語フォーラムでも「Weblate に移行する予定はありますか?」という質問が出ていますが、2023年8月時点でその予定はないとのこと。

KDE の翻訳者は KDE のユーザからしか生まれませんが、ほとんどの KDE ユーザにとって、今の翻訳方法は困難だと思う。ここに書いたことを調べて、翻訳アプリの使い方を覚えて、メーリングリストでやり取りしないといけない。2024年9月の時点で、活発に日本語翻訳をしている人はゼロでした。

翻訳のしやすさと既存の翻訳の完成度を求めるなら、デスクトップ環境は XfceBudgie が良いと思います。KDE のようにメッセージ数が膨大ではないし、翻訳に Transifex を利用しているので、ブラウザでプロジェクトページを開くだけで翻訳できる。

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