2025-01-14
これは、10数年ぶりに KDE を翻訳したときの作業メモです。
公式の情報はこちら。
mkdir ~/kde_tr_ja
cd ~/kde_tr_ja
# 事前に subversion をインストールしてください
svn co svn://anonsvn.kde.org/home/kde/trunk/l10n-support/ja/summit/messages
翻訳前にファイルを最新のものにアップデートしてください。
cd ~/kde_tr_ja/messages/
svn update
cd ..
“Automatic spell checking” というメッセージを翻訳したい場合、そのメッセージがどのファイルに含まれているかを検索する。
# 大文字と小文字を区別して検索
# 「grep -v ".po:#"」でコメントを除外
grep "Automatic spell checking" messages/*/*.po | grep -v ".po:#"
=> messages/sonnet/sonnet6_qt.po:msgid "&Automatic spell checking enabled by default"
「messages/sonnet/sonnet6_qt.po」に含まれていることがわかりました。
翻訳したいメッセージが「Done」のように短すぎてファイルを絞りきれないときは、そのメッセージの周辺にある長いメッセージを検索してください。
poedit などの翻訳アプリで「sonnet6_qt.po」を翻訳。
# コピーを作成して翻訳する。オリジナルは変更しない
cp messages/sonnet/sonnet6_qt.po .
poedit sonnet6_qt.po
最初のうちは30分程度で終えられる範囲のメッセージを翻訳してください。なにか間違いがあったとき、2時間分の作業をやり直すのはつらいものです。
全訳にこだわる必要はありません。稀にしか出ないエラーメッセージは後回しで良い。メニューや設定項目を先に翻訳すると、快適性が格段に上がります。
注意事項を過剰に気にする必要はありません。気軽に翻訳してください。「ディレクトリー」と翻訳した場合でも、「ディレクトリ」への置換は一瞬でできます。
翻訳したメッセージをインストール。
for po_file in *.po; do
msgfmt $po_file -o ${po_file%.po}.mo;
done
sudo cp *.mo /usr/share/locale/ja/LC_MESSAGES/
アプリを再起動して、翻訳が反映されているか確認してください。
こちらにメールアドレスを入力して、kde-jp のメーリングリストに入会を申し込んでください。名前とパスワードは省略可能。
退会するときは同じページに「Kde-jp からの退会」のボックスがあるので、メールアドレスを入力。入会も退会も数分で自動的に処理されます。
入会したら、kde-jp@kde.org
に次のようなメールを送ってください。
件名
翻訳しました: sonnet6_qt.po
本文
sonnet6_qt.po を翻訳しました。マージをお願いします。
「sonnet6_qt.po」を bzip2 などで圧縮して、メールに添付。
KDE のコミッタがファイルを確認して、KDE の公式リポジトリにマージします。何日か待ってください。
「いまどきメーリングリストで翻訳?」
私もそう思いました。このやり方は世界共通なので、KDE の方針が変わらない限りどうにもなりません。英語フォーラムでも「Weblate に移行する予定はありますか?」という質問が出ていますが、2023年8月時点でその予定はないとのこと。
KDE の翻訳者は KDE のユーザからしか生まれませんが、ほとんどの KDE ユーザにとって、今の翻訳方法は困難だと思う。ここに書いたことを調べて、翻訳アプリの使い方を覚えて、メーリングリストでやり取りしないといけない。2024年9月の時点で、活発に日本語翻訳をしている人はゼロでした。
翻訳のしやすさと既存の翻訳の完成度を求めるなら、デスクトップ環境は LXQt / Xfce / Budgie などが良いと思います。KDE のようにメッセージ数が膨大ではないし、翻訳に Transifex を使用しているので、ブラウザでプロジェクトページを開くだけで翻訳できる。